黄昏

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    バイロンと夕方の散歩をしているとき、

    道を尋ねられました。

    犬連れ散歩は「地元民」な感じがするらしく、

    いろいろな人に道を聞かれます。

     

    ○○2丁目はどっちの方かしら?

     

    キチッとした服装の60代後半に見えるおばさんは、

    そう言いました。

     

    私たちがいるのは○○1丁目だから、2丁目は隣ですね。

    でも具体的に、2丁目のどこら辺へ行きたいのでしょう?

     

    ○○2丁目1ー2−3

     

    おばさんは淀みなく答えてくれたけれど、そこはどこ?

    もしかしてX寺の方?

    と地元では有名なお寺の名前を出してみると

     

    そうそう! X寺のすぐ近くなのよ!

    X寺まで行けばわかるわ!

     

    ああ! X寺は歩いて15分くらいの距離。

    ちょうど帰り道だし、途中まで一緒に歩くことにしました。

    一体、どこから来てどう迷ったのだろう?

    ずいぶん歩き回ったようなので聞いてみると、

     

    どこから来た、っていうのじゃなくてね、

    △△に行ったんだけど、帰り道がわからなくなっちゃったのよ。

     

    アッと思いました。

    そうか、家に帰れなくなっちゃったのか!

     

    チャキチャキ喋っているから気づかなかったけれど、

    目つきに落ち着きがなく、周りの景色も目に入らないみたい。

    「帰りが遅くて、おうちの人が心配していないかしら?」と

    なるべくノンビリした口調で聞いてみたら、

     

    娘がいるんだけどね、近くに住んでいるのよ。

    私は一人暮らしだから、家には誰もいないの。

    道に迷ったなんて言ったら、娘にまた怒られちゃう・・・

    知らない場所に来ちゃって、本当に困っちゃうわ・・・

     

    ともあれ。

    X寺まで行けばわかるから大丈夫!と繰り返すので

    X寺の参道入り口までついて行き、

    真っ直ぐ歩けばX寺に突き当たるから、真っ直ぐ歩いてね!

    と言い含めておばさんと別れました。

     

    ああ。

    おばさん、ずいぶん歩き回ったんだろうなあ。

    私と会うまでに、何人にも道を尋ねたんじゃないだろうか?

    話をしただけでは、認知症とわからなかったし。

     

    本当に、いろいろ考えます。

    身近な人が道に迷ってしまう場合もあるし、

    いつか私自身が道に迷う日が来るかも知れない。

     

    人は必ず老いるものだし、

    老いや死は恩寵でもあると思うのです。

    が、やはり上手に人生を全うしたいなあ。

    自分自身を教材にして、

    これから学ぶことがたくさんありそうな感じです。

     

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